青山クラブ/旧呉海軍下士官兵集会所

不詳 1936

#1:中庭を囲むコの字型配置。右側の緑は長官山で、山の上には長官官舎がある。

JR呉線のガード近くに建つ、旧海軍の下士官兵クラブ。旧海軍艦艇の乗員は入港時に半数ずつ上陸して休息を取っていたが、その際の滞在用に建てられた施設だ。上級士官は水交社という士官クラブがあるので、こちらは下士官と水兵向けである。
本作は、広島県内に現存するおそらく最大の戦前期モダニズム(インターナショナルスタイル)である。海軍というとレンガのイメージがあるが、さすがに昭和になるとこのようなモダニズムも建てられていたということが分かる。設計者は不明だが、呉鎮守府の建築課が関与したはずだ。

配置計画は、司令長官官舎のある長官山を背後にコの字型となっているが、北側のコーナーは丸めてあり、モダニズムらしいアイコンの横連窓が付く。呉線のガードを境に市街地と海軍用地が分かれていたので、そのゲート性を強調するためにコーナーを丸めるデザインにしたものと推測する。かつてはこの建物の前を多くの軍属や工員が行き交っていたことだろう。

当初はこんな赤っぽい塗料ではなかったはずで、丁寧に補修すれば素晴らしい輝きを放つに違いないが、本作は2016年1月現在でほぼ空き家状態であり、解体のおそれもある。国内でもっとも旧軍港の面影を残しているエリアだけに、解体されてしまうと呉のアイデンティティの重要なパーツを失いかねない。