磐台寺観音堂(阿伏兎観音)

不詳 16世紀

#1:絶景に高欄が低くスリル満点

沼隈半島の先端、岩礁の上に建てられたお堂。一般には阿伏兎(あぶと)観音として知られている。現在の建物は16世紀に毛利家が創建したものと伝えられ、観音堂は国重文、客殿は県重文に指定されている。
見どころは観音堂とその立地。崖の上に組まれた石垣の存在感は圧倒的で、お堂からの眺望を遮るものは何もない(写真#1)。観音堂の意匠を見ると、平行垂木なので基本的には和様だが、木鼻の装飾(写真#7)や屋根の反り具合などは唐様を感じさせる。こういった折衷様は室町時代の瀬戸内海地域の仏教建築に共通する特徴で、向上寺三重塔宮島の五重塔などとも似ており、大陸との交易が影響しているのかもしれない。また、堂内の格天井は絵付きでなかなか見ごたえがあった(写真#8)。