福禅寺(対潮楼)

不詳 17世紀

鞆の海際にある小高い丘の上に建つ寺院。本堂に隣接する客殿「対潮楼」は、建物としてはシンプルであるが、仙酔島や瀬戸内海を望む眺望が特に有名だ。江戸時代にこの地に立ち寄った朝鮮通信使は「日東第一形勝」と讃え、宮城道雄はこの風景をイメージして名曲「春の海」を作曲したという。江戸時代は丘の下に道路もなく、今以上に海が近い絶景であったことだろう。
こういった眺望点では、いわゆる額縁庭園と同じく、窓際から離れた場所に座って見るのが正しい鑑賞法と思われる。