山手の洋風長屋群

不詳

#1

昭和初期頃に分譲された住宅地。いわゆる2軒長屋であり、左右対称の住宅が2軒接合されて1つの建物となっている。間取りは続き間の箇所があるなど、伝統的な長屋スタイルを踏襲しているが、特徴を出そうとしたのか、外観は洋風で統一されている。ずいぶんと時代は下っているが擬洋風の一種としてもいいかもしれない。とはいえ、壁はモルタルを叩きつけた”ドイツ壁”と呼ばれる仕上げで、妻面にはハーフティンバー(のようなもの)が見られるなど、なかなか本格的だ(写真#2)。

これら洋風長屋は今なお住まいとして使われておりもちろん非公開だが、ゲストハウスとして使われている部屋を内観できた。ハーフティンバーになっている両翼部は洋室で、洋風折上格天井?な天井が見られる(写真#4)。その他は和室で続き間であるが、玄関や台所の配置やスケール感などは、同潤会アパートなど同年代のハイカラ住宅とよく似ているように思えた(写真#3)。

尾道駅の裏山には本作を含む木造建築群が斜面に沿って建ち並んでおり、山に上がらず道路から見上げるだけでも楽しめる(写真#5)。