広島市水道資料館/牛田浄水場旧送水ポンプ室

不詳 1924

牛田浄水場の片隅に残る旧ポンプ室。ポンプの役目は緩速ろ過池でろ過された水を高台の配水池に上げることであり、本作も配水池がある山の麓に位置している。3号配水池ともども大正時代の第二次拡張期工事で建設された。
ビッグウェーブの影に隠れてしまっており(写真#02。施設設計時に視線や動線を抜くとか工夫すればいいのに…)訪れる人も少ないが、広島に残る貴重な近代化遺産の一つであり、経産省の近代化産業遺産リスト(平成20年度)にも掲載されている。
レンガ造と書かれた書籍もあるが、RC造のレンガ張りである。窓が縦長だったりバットレスが付いていたりと、組積造時代のデザインの名残も見られる。同年代の3号配水井上屋と比べると興味深い。資料館として利用されており内観は容易だが、残念ながら内部は大幅に改装されており、ほとんど原形を留めていない。
そして、旧送水ポンプ室の横に残るのが旧量水室。こちらは市街地に向けて送水される水量を測定するための建屋であるが、同じRCでもずいぶんと形が違い、分離派の影響を感じさせる造形になっている(階段まわりが一番分かりやすい)。現在は水道資料館の付属建物という位置づけだが、閉じられたまま使われていないようだ。

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