コンクリート船 武智丸

舞鶴海軍工廠 1944

[注意] 防波堤として使用されており見学可能となっていますが、足元が悪い箇所もあります。見学は自己責任で行うこととし、何らかの事故等に遭遇したとしても本サイトは一切の責任を負いませんのでご注意ください。


#1:右が第1武智丸で左が第2武智丸。互いの船尾を接して配されている。

大戦期に建造されたコンクリート船が安浦漁港の防波堤として現存している。坪井漁港のコンクリート船は自走できない”浮かぶタンク”だったが、こちらは機関を積み自走可能だった。鉄がないからコンクリートで作ってみたという代物ではあるが、戦中に竣工した3隻(第1~第3武智丸)は海軍雑用船として活動したという。
設計は戦時標準船に準じたものとなっており、フォルムは船そのものなのだが、内部ではコンクリートの柱・梁が巡らされていて、建物にも見える。梁の上には釘状のものが刺さっており、そこにはおそらく木製甲板が張られていたのだろう。
いかにも戦時中らしい粗末な構造物ではあるのだが、防波堤となった歴史を経た結果生じたこの造形物は船とも建築ともいえない独特なオーラを放っている。