頼山陽史跡資料館

日建設計 1995

広島の中心市街地に建つ資料館。この場所にはかつて頼家の屋敷があり、頼山陽はこの地で青年期を過ごした。
現建物は資料館としては2代目にあたる。初代はRC造の近代建築(1935年・佐藤功一)で、被爆時には日銀の陰になったため倒壊を免れ被爆後も使用された(ただし収蔵品はほぼ失われた)。現建物は初代の老朽化にともなって建て替えられたものだが、塀・門は戦前のまま保存された。意外に良かったのがエントランス正面の中庭で、中根金作の指導による作庭という。
ここを訪れる際には、建物そのものだけでなくスケールや空気感を感じるするようにしたい。広島の侍屋敷群は明治以降の近代化と戦災により失われ、明確な遺構は残っておらず、そのスケール感を感じられるだけでも貴重なスポットといえる。また、この塀・門と隣接する日銀の建物は被爆前の姿をとどめており、広島の中心部で唯一、戦前のたたずまいを体験できる貴重なスポットでもある。

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