県立広島大学図書館

石本建築事務所 1997

[注意] 現役の図書館として使われていますので、訪問する際には十分な配慮を持って行動してください。


#1:外観。

県病院近く、幹線道路に沿って建つ図書館。鼓(つづみ)のようなインパクトのある外観は周辺から見てもかなり目立ち、重要なアイストップとなっている。普段は行きにくい施設なので、オープンキャンパスの日を狙って訪問してきた。
まず何と言っても、丸いことがこの図書館最大の特徴だ。丸い図書館といえば、大英博物館図書館の壮大な閲覧室が有名だが、その狙いはぐるり360度を本に囲まれた、まさに知の泉の中に身を置くような空間演出にあったと思う。一方、この図書館は円の中心から書架を見渡せるわけではなく、むしろ逆に敷地の狭さから圧迫感を軽減するために円形を選択したようだ。
そして、ブレース(筋交い)の構造をそのまま見せているのも外観上の特徴になっている。このブレースはPC(プレキャストコンクリート)で、5.5トンほどのユニットを各階30個接合して(2~4階の場合)形成されているという。
この建物は4階建てだが、閲覧室・書架は2~4階に設けられている。アプローチするときは、エントランスをくぐってすぐの階段を上がり(写真#2)、吹抜けのあるホールに出ることになる(写真#3)。大英博物館のような壮大な建築とは比べるべくもないが、小さいながらも図書館に品格を与えようとする空間演出は悪くない。

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