旧呉海軍病院官舎 [現存せず]

不詳 1924

国立病院(旧呉海軍病院)に近い住宅地の一角に旧海軍が建設した戸建て住宅。戦後接収され、その後国立病院に移管されたものだが、2010年に解体され現存しない。
そもそも海軍が建てた官舎はそれほど多くなく、本作は貴重な現存例であるとともに意匠の水準も高く、往時のままの姿が残されており、文化的価値の非常に高い逸品であった。
それだけに、これほどの作品が一般に知られることもなく失われたのは残念でならない。一棟だけでも保存はできたはずだし、文化財の専門家の間では知られていたのだから、行政としては直ちに救いに行くべきであった。国立病院および呉市の不見識・不作為には強い違和感を感じずにはいられない。