本通の擬洋風住宅

不詳

#1:外観

#2:懸魚

呉YWCAの近く、旧海軍ゾーンとの境界線からやや市街地側に建つ民家。見つけたときにはとにかく驚いた。呉の市街地、特に平地部分には何も残っていないと思っていたからだ。司令長官官舎(入船山記念館)が現存するということは入船山周辺の一帯も空襲を免れているはずと推測すればもっと早く見つけ出せたかもしれない。

外観を見ると、道路側の洋館部分はコロニアル風なバルコニーが付きアーチ窓も確認できる。だがバルコニーの柱と窓の位置が合っていない。これら特徴は明治期の擬洋風建築に見られるものなので、本作もその一種と推測する。もし本当に明治期の擬洋風建築であれば、県内には現存例が少ないので大変貴重な文化財クラスの逸品ということになる。

一方、玄関まわりは昭和戦前期の増築と推測する。破風をよく見ると、懸魚に舵輪や錨の彫刻がなされており、海軍を強く連想させる。これも推測だが、本作は海軍に物品を納めていた商家だったのではないだろうか。

ともあれ、全ては推測に過ぎない。建設経緯や建築年代など、分かり次第また追記したい。