旧ユウホウ能美工場

不詳 1896

能美島の海沿いに建つ工場施設群。当初は朝日紡績能美島工場として1896年に建設されたもので、その後所有者も変わり、増築を重ねていったようだ。2013年まではユウホウ能美工場であったが、2014年1月現在では操業停止となっている。
敷地内を詳細に調べたわけではないが、中央部にはレンガ造の工場建屋および給水塔が置かれ、取り囲むように木造の居住区が整備されている。居住区はいずれも昭和戦前期と思われる木造で、長屋状の建物(おそらく工員住宅)と、戸建て(おそらく幹部住宅)がある。いずれも保存状態は驚異的で、昭和戦前期のたたずまいがタイムカプセルのように残されている。
能美島どころか瀬戸内海地域でも有数の近代化遺産なのは間違いないが、このままでは向島の工場のように解体されかねず、その場合は泣きたくなるほど貧相な商業施設あたりになってしまうのだろう。規模が非常に大きいので全てを残すのは難しいかもしれないが、部分的にでも保存・再利用を目指せないだろうか。