中野本店

不詳

吉浦の町に残る造り酒屋。「水龍」ブランドで知られている。蔵主は中野光次郎の名前を襲名することになっており、かつ地元の名士であり続けたためか、吉浦の寺社では同じ名前をよく見かける。
現存する建物はいずれも明治後半~戦後すぐくらいと推測するが、最も興味を惹かれたのはこの看板建築的な店構え。木造モルタルで水平連続窓に横庇が付いたり、隅切り部分のデザインがどうも納まってなかったり、でもそれが味わいになっていたり…と見どころ満載。
そして、隅切り部分の2階の窓をよく見ると、その向こうには空がある(写真#2)。つまり、この部分は見栄えのためにファサードだけが壁として立ち上がっているようだ。
今回は足早に外観をぐるりと見て回っただけだが、機会があればぜひ内観もしてみたいと思わせる、町場の名品だった。