三原市芸術文化センター ポポロ

槇文彦 2007

三原の中心部から少し外れた公園のただ中に建つ多目的ホール。規模は大きいが、ホールと楽屋と会議室程度で構成される、ごくシンプルな施設だ。

建築について

まず外観について。外観上の特徴はやはり曲面で構成された屋根だろう。ホールの天井は丸くないらしいので、この形は機能面から導かれたのではなく、デザインということだと思う。好みの問題だが、やや取って付けたような印象を受ける。ちなみに外構設計はオンサイトが担当している。
続いて内部について。建物内部は、ホールに入れなかったのでホワイエについてだけ書くと、まず、ホワイエは中庭で区切られるため実質的に二つある。そして外部に近い側(ホールから遠い側)のホワイエがより広い。つまり外部に近い側のホワイエは、ホールから出てきた客を受け止めるというよりは、作品展示やワークショップの場としての利用を重視していると思われる(写真#2)。であれば、もっと外部空間との繋がりを意識し、外に開け放てる設えにしてしまえばより良くなったように思う。

都市経営から考える

様々な事情があり議論を踏まえて計画されたとは思うし、ここで「そもそも論」を持ち出すのは不毛かもしれないが、県内有数の大型ホールをこの場所にどーんと作ることが本当に良かったのか、やはり疑問に思う。地域の基礎体力が落ちている現代では都市経営にも選択と集中が求められるわけで、特に厳しい状況にある三原なら、こういった施設は街の中心部に立地させ稼働率を高めると同時に中心市街地活性化への相乗効果を狙うべきだった。そうであれば、金沢21世紀美術館のように、デザインが貢献できることはもっと多かったはずだ。その意味でも何とももどかしい施設であった。