木野の街並み

不詳

#1

山口県との県境である小瀬川に沿って形成された古い町。
広島城下から旧西国街道を西へ進むと、廿日市や玖波といった宿場を経て周防国(つまり長州藩)との国境である小瀬川(*1)へと至る。木野はその交点に形成された町である。国境管理のため小瀬川は架橋されず、旅人は渡船(木野の渡し)を利用していた。1866年の長州征伐では、幕府方の諸藩(*2)と長州藩との間で激戦が繰り広げられ、小瀬川周辺から廿日市に至るまでかなりの家屋が焼かれたという。

現在見ることができる古い街並みは、江戸時代のものというよりは、製紙業で栄えた明治後半~昭和戦前期のものだろう。立派な町家はおそらく製紙関係の商家と思われる。空き家はあるようだが、ひどく傾いた家は見られなかった。修景の補助金や税の減免など、今すぐに保存・活用に向けた手を打つべきだと思う。