地御前神社

不詳 1760

#1:手前が拝殿、奥が本殿。

伊勢神宮に内宮と外宮(げくう)があるように、実は厳島神社にも外宮がある。大野瀬戸を隔てた対岸に建つ地御前神社である。
創建年代は定かではないが、厳島神社に匹敵する歴史を持つともいわれる。当初宮島への上陸が制限されていたため、参拝の利便のために設けられた側面もあるようだ。現在は幹線道路と鉄道が境内を貫通しており、風情がかなり損なわれているが、現存する建築群からは格式の高さが感じられる。
興味深いのは本殿・拝殿とも石垣で若干かさ上げされている点で、いかにも船着場らしい石段が見られる。つまり、以前は拝殿の足元まで海水が入っており、宮島から船で直接アクセスできたらしい。厳島神社と対をなすだけのことはある、凝った空間演出だと思う。
もう一つ。鳥居の鼻先を走る広電宮島線の線路を見ると、プラットホームらしき遺構がある。これは臨時停留場の跡で、海水浴場向けの臨時駅だったという。