日本電気計器検定所中国支社 [現存せず]

山田守/逓信省営繕課 1937

#1:外観

横川駅近く、国道54号沿いにあった逓信省の施設。かつての逓信省(ていしんしょう)は郵便・電信・電話の他に、電気計器の検定も所管としており(*1)、本作はその検定所であった。

設計は当時の日本建築界のトップ集団である逓信省営繕課(*2)に所属していた建築家山田守。山田は時期によってその作風を変えているが、広島に現存する「広島逓信病院旧外来棟」「旧広島中央電話局西分局」「旧逓信省電気試験所広島出張所」はいずれも1930年代後半であり、意匠はいわゆるモダニズムで統一されている。基本的に白い箱を指向しつつ、コーナーを少しだけ丸めているのは山田のこだわりだろうか。

本作は被爆建物であるにも関わらず話題に上ることもなく破壊され、味気ないスーパーマーケットに変わってしまった。同時期の逓信病院が保存されていることを考えると、本作も保存や利活用はできたはずだ。国がらみの資産だから売却して取り壊すのが公益だというのは一面しか見ていない理屈であり、あまりに貧相な発想といわざるをえない。