ひろしま美術館

与謝野久/日建設計 1978

広島市の都心部、中央公園のただ中に建つ美術館。広島銀行が収集した美術品が展示されており、特に常設展には定評がある(らしい)。

建築計画としては、敷地を回廊で囲み、中央部に円形のメイン展示室(常設展用)を、地階にサブ展示室(企画展用)を配置しており、寺院の伽藍配置を連想させる。回廊には、都会の喧噪を遮断し訪問者を美術鑑賞に集中させる狙いがあるようだ。近年は「金沢21世紀美術館」のような開放的な美術館がトレンドだが、このようにあえて閉鎖的に作るのも一つの方法だろう。
メンテナンスの手は行き届いているが、全体的に薄汚れてきているので、第一線を維持するならそろそろリフォームが必要だと思う。

さて、この建物で一番グッと来たのは、展示室ではなくて、エントランスホールから地階に下りるための階段の造形。特にこの場所にこの造形を選択する必然性は全くないし、ここじゃなくて展示室をもっと頑張ればいいのに…と思ってしまうが、そんなツッコミは差し置いても造形だけで勝負できているのはさすが。

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