大山祇神社

不詳 1427

全国の大山祇神社、三島神社の総本社にして、日本総鎮守を名乗る神社。古今の武将の信仰が厚く、瀬戸内海を制した水軍も拠り所とした。現在残る境内地はさほど大きなものではないものの、樹齢2600年とされる大クスノキ、諸将が奉納した甲冑・刀剣類(国宝多数)が展示された宝物館など、有数の神社であることは間違いない。
現在の拝殿は戦国末期~江戸初期頃に再建されたものであるらしい。檜皮(ひわだ)葺きの屋根は優美な造形だが、唐破風向拝の付き方はやや唐突な印象を受ける。個人的に気になった建物は宝物館の一部である「国宝館」。1926年竣工とされ、厳島神社宝物館と同様のRC近代和風建築である。外観(垂木や窓の造形)のデフォルメは中途半端でやや違和感があり、内装は木造にはないスパンを完全にはデザイン処理しきれていない。RCでどうやって和風建築を作るか試行錯誤していた当時の様子がよく分かる。
瀬戸内海地域ではトップクラスの洗練度を誇る建築群であることは間違いない。しまなみ海道を旅するなら必ず立ち寄るべきスポットといえよう。